2010年06月11日

酪酸の成分、オレンジジュース程度と認識(産経新聞)

【SS元船長 最終弁論要旨】

 ピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)に対する最終弁論要旨は以下の通り。

 ■公訴事実について

 起訴状記載の公訴事実のうち、威力業務妨害、器物損壊、艦船侵入、銃刀法違反については争いがない。しかし、傷害については、故意と因果関係、結果発生の有無、その程度について、合理的な疑いが残るもので争う。

 ■傷害の因果関係について

 被告が、ゴムボート上から、航行中の第2昭南丸の左舷側船橋部付近に向かって、酪酸入りのガラス瓶を圧縮空気式発射装置、ランチャーを使って発射し、これが左舷側船橋部付近壁面に当たって割れ、ガラス瓶内の酪酸が流出した。

 ガラス瓶の着弾場所から被害が発生したとされる場所までの直線距離は約9メートル、高さにして約7メートルの距離だった。

 第2昭南丸に向かって吹いてくる風速は毎秒6.2メートルで、これは、気象庁による風力階級では、「和風」と区分され、陸上では「砂ぼこりが立ち、紙片が舞う。小枝が動く」程度の風だ。海況によっては、上甲板上で波しぶきをかぶることはあるが、事件当時は大きな波はなく、波しぶきを体に浴びる状況ではなかった。被害者は、フェイスカバーの付いたヘルメットを着用して、海面から約120センチと、かなり海面に近い場所にいたが、身体にもヘルメットにも海水を浴びていない。

 因果関係と想定されるのは、ガラス瓶には純度の高い酪酸が入っており、それが着弾場所で激突して破裂し、瓶の中の酪酸が飛沫(ひまつ)となって左舷側後部の上甲板上にまで拡散し、フェイスカバーを鼻のあたりまで下ろした状態でヘルメットを着用していた被害者の顔面に付着した、ということ。

 酪酸は人体に有害であるとされるが、希釈化された場合の危険性については、証拠となっている文献上、何も記載されていない。ガラス瓶破片の鑑定書においても、酪酸の付着が認められたことのみが記載されており、濃度や純度などについては言及されていない。被告は、今回のガラス瓶と同種のものを取り扱った際に、誤って素手で20〜50ミリリットル程度の酪酸に触れたことがあったが、数分後に手を洗ったとき、特に痛みや炎症などの症状は引き起こさなかった。今回のガラス瓶内の酪酸も純度が低いか、相当希釈されていた可能性がある。

 製品としての酪酸は、油状の液体で、ある程度の粘性を有している。仮に、ガラス瓶が激突して破裂したとしても、風速が「和風」の状況では、酪酸が飛沫となって広範囲に飛散した可能性には疑問の余地がある。

 乗組員は「2枚のガラスににおいのする液体が付いて流れていました」などと述べている。ガラス瓶内の酪酸は粘性を持った液体だったことが推察される。

 また、ガラス瓶の破片は船橋甲板左舷側通路から回収されていて、実況見分調書添付の写真では、緑色の床がまだらに変色している。まだら状に変色したのが「船首尾方向に長さ1.7メートル、幅1.2メートル」であるということからすれば、相当量の酪酸がこぼれたことがうかがわれる。仮に、酪酸が飛沫化して船橋甲板左舷側通路を飛び越えて落下したとしてもかなり少量であったはずである。

 被害者の男性は、受傷時、顔に何かかかったという感じはしなかったと証言し、また、本件発生時の前後ごろ、上方からガラスの破片のようなものが降ってきてそれを浴びたり、液体が降ってきてそれを浴びたりしたとか、霧のようなものが上方から降ってきた感触はなかったとし、シャワー室に向かうまでの間に、上甲板上にガラスの破片のようなものが散らばっているとか、足でじゃりじゃりとしたものを踏んだ感触はなかったと証言している。

 一方、被害者よりも10メートル程度船尾側の上甲板上にいた乗組員も、事件発生時の前後にガラスの破片のようなものが身体に触れたという記憶はなく、上方から水が降ってきたような感覚は認識しておらず、顔に痛みを感じてから船内に入るまで上甲板上を船首方向に歩いたが、床にガラス片のようなものが落ちていた感触はなかったと証言している。

 これらの証言からすると、左舷側上甲板上に液体やガラスの破片のようなものが落下した事実は認められない。ガラス片が採取され、また変色の痕が認められたのは船橋甲板左舷側通路のみで、左舷側上甲板上からはガラス片や変色その他の異変が認められない。

 なお、シャワー室で洗顔した後、酪酸のにおいを消すために中和剤をまいた乗組員は、「左舷側の着弾したあたり、つまりブリッジ周辺一帯で、上甲板にはまいていない」と証言しており、左舷側上甲板上に酪酸は付着していなかった。

 被害者の男性は、事件時、ヘルメットのフェイスカバーを鼻のあたりまで下ろしていたが、これまでの経験上、フェイスカバーを下ろしている状態で海水がヘルメットの中に霧状になって入ってきたことはないと証言している。フェイスカバーを下ろしていれば、ヘルメット内部に飛散した液体が入り込むのは考えにくい。

 被害者の男性は、ランチャーが発射されてから痛みを感じるまで5秒以内程度で、被告がランチャーを構えたのを見て「危ないと思いました」などと証言している。しかしながら、身をかがめたり、ランチャーを凝視(ぎょうし)して動向を注視したりせず、身構えることなく漫然と5秒以上もブリッジの方を見上げて立っていたことになり、危険に遭遇したと感じる者としては不自然。証言はにわかに信じがたい。

 これに対して、別の乗組員は、ランチャー発射直前「反射的に身を隠していました」と供述しており、自然かつ合理的な反応で危険回避したと述べている。

 酪酸に関する「国際化学物質安全性カード」などは、身体への暴露として「吸入、皮膚、目、摂取」を挙げる。しかし、酪酸を浴びたと供述した者のうち、誰も「吸入」による症状を訴えていない。船医も、吸入によって生じる症状を診断書に記載していない。

 被害者の男性らは、着用していたカッパに酪酸の悪臭が付着したために翌日までに廃棄してしまった。酪酸が付着したカッパは、シー・シェパードによる酪酸の撃ち込みを立証する極めて重要な証拠で、漫然(まんぜん)と廃棄したのは極めて不自然・不合理な行動だ。

 ヘルメットについても、帰国の途についた以上、防護用のヘルメット着用の必要性はなくなっていたはずで、酪酸の飛沫を浴びて傷害の結果が生じたと主張するのなら、証拠として、着用していたヘルメットを洗わずに保全する措置をとっておいたはずである。

 化学熱傷を起こす物質は酪酸以外にも多くの種類がある。酪酸対策として危険有害性のアルカリ性中和剤が準備されていた可能性も払拭(ふっしょく)できない。

 ■傷害の結果について

 被害者が船医の診断を受けたのは、受傷2日後。全治日数を診断するには、実際の経過観察をもって結論を出すことが適切である。刑事責任が追及されうる場合に、被害者がどの程度の受傷をしたかは、量刑に重要な影響を及ぼす事実であり、一般的・抽象的な予測的診断を根拠にすることは著しく不適切である。

 ■故意について

 被告が、第2昭南丸の左舷側をボートで併走して、ランチャーを発射するとき、被害者の男性が受傷した場所付近に人がいることは認識していなかった。

 被告は、ランチャーを使用してガラス瓶を撃ち込む際、あらかじめ人のいない左舷側船橋部付近を狙っており、ガラス瓶発射行為は人の身体に向けられたものではない。

 被告の酪酸に関する知識は、人体に対して害を与えるものではなく、成分は、酸性度のオレンジジュースと同程度というものであった。人体に危害が生じるとの認識は全くなかった。

 ■情状について

 日本鯨類研究所が南極海で実施している調査捕鯨に付いて、反対する意見が国際社会において有力に存在している。

 被告は、捕殺を伴う調査捕鯨が国際捕鯨取締条約に違反するものと考えて、平成21年7月ごろより、妨害に参加した。第2昭南丸は、妨害行為を防止することが主な任務であり、海水を発射して、接近を防止するものだった。

 被告は第2昭南丸がスティーブ・アーウィン号に接近することを阻止することを目的としていたので、第2昭南丸左舷側船橋上部甲板の人がいないところを狙ってランチャーからガラス瓶を発射した。第2昭南丸に侵入することを決意し、実行したのは、被告の乗船するアディ・ギル号が第2昭南丸と衝突して沈没した事件について、第2昭南丸の船長に責任を問うことであった。直接相手方とあって話がしたいという動機は十分に理解しうるもので、斟酌されるべきである。

 持ち込んだナイフで乗組員に危害を加える意思は全くなかった。なお、小型ボートで航行する場合、ロープが身体に巻き付いたりした場合は命にかかわるのでナイフを携帯しているのが一般的であることから、ナイフ所持が違法とは思っていなかった。

 被告は、防護ネットをナイフで切断したが、第2昭南丸を所有する共同船舶に、被害金額を弁償した。

 第2昭南丸が東京に到着した後、海上保安官に対してナイフを差し出した。海上保安官に対して自ら申告した時点において、ナイフを所持していることは捜査機関に発覚しておらず、銃刀法違反については自首が成立すると思料する。

 被告は、自らの正義感でシー・シェパードの活動に参加したが、事件発生に至り、今後は他人を傷つけるような可能性のある活動には参加しない旨を表明している。被告に前科はなく、今回初めて身柄を拘束された。逮捕されて以来、約3カ月にわたって拘束されており、家族らと面会できず、その辛さは十分味にしみている。

 被告は、管理学の修士号などを有し、石油開発会社の勤務経験もある。母国には妻子もおり、今後、静かに暮らしていくつもりだ。

 ■結論

 傷害罪については、成立に合理的疑いの余地があると思料するが、その他の公訴事実についてはすべて認めており、被告には十分な反省が見られ、再犯の恐れもないといえる。今回に限り、母国での再起の機会を与えることが、更生の観点からも相当で、執行猶予付き判決を求める。

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2010年06月07日

鳩山氏とは異質の湿った軽さ パフォーマンスの菅(産経新聞)

 昭和55年6月、33歳で衆院に初当選した菅直人新首相は胸中に、30年かけて天下を取るという「30年計画」を温めていた。まさに30年後に夢を実現した形だが、前途は多難で待っているのはイバラの道だ。何より、鳩山由紀夫首相が破壊した「首相の言葉への信頼」を取り戻さなければならない。鳩山首相とタイプは異なるものの、どこか似通った「軽さ」の漂う菅氏は、どんな首相となるのだろうか。(阿比留瑠比)

 ■強い上昇志向

 鳩山首相の実弟、鳩山邦夫元総務相は2日、都内での講演で平成8年の旧民主党結党時に、菅氏が加わった経緯を振り返った。

 「兄と私とで民主党の骨格を作ろうとしていた。後で菅さんが来て『オレが代表をやるのでなければ嫌だ』というので、兄と共同代表になった」

 菅氏と親しく接した人物は、その「上昇志向」「権力志向」に強い印象を受ける。実際、これまで8回の党代表選で、「形勢に利がなく動けなかった」(側近議員)という昨年5月を除き、7回出馬している。

 今回、鳩山首相が「政治とカネ」の問題で評判の悪かった小沢一郎幹事長を道連れに辞任したことで、有権者の民主党への目線は和らいでいる。とはいえ、参院選の厳しい情勢が劇的に改善されたわけではない。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設問題は、沖縄県民の理解を得られるあてはなく、依然解決のめどは立っていない。昨年の衆院選のマニフェスト(政権公約)を実行するための財源も確保にはほど遠い。

 八方ふさがりにも見える状況で、あえて火中のクリを拾った菅氏に勝算はあったのか。条件は不利でも、首相になるチャンスを逃したくなかったのか。

 鳩山首相は普天間問題で「最低でも県外」「5月末までに決着」と成算もなくぶち上げ、これが「オウンゴール」(野田佳彦財務副大臣)となり自滅した。菅氏はこの問題について「(かかわりを)もっていない」と避けてきたがどうするつもりか。

 鳩山首相の場合、「秘書の罪は国会議員の罪」などと断じた過去の発言がブーメランとなって自身を傷つけた。だが、ブーメランといえば菅氏こそ“元祖使い手”を名乗る資格がある。

 平成16年、年金未納問題で自民党側を追及していた菅氏(党代表)は、後に自らの未払いが発覚して代表辞任に追い込まれ、頭を丸めてお遍路姿で四国八十八カ所巡りを行っている。

 ■パフォーマンス好き

 菅氏といえば30年前の初当選時から、その短気さから周囲に「イラ菅」とあだ名されてきたのが有名だ。

 だが、では直情径行型かというとそう単純ではなく、状況次第で右にも左にも合わせる「ポピュリスト(大衆迎合政治家)」としての顔ものぞかせる。

 全共闘世代に誇りを感じていて“体制側”に拒否感を持つ半面、リベラリズムへのこだわりが強い。一方で、党内保守派に勢いがあると見ると、そこへのアピールも欠かさない。18年の代表選演説では、保守系数学者、藤原正彦氏の著書「国家の品格」を長々と引用して、「全く似合わない」(中堅議員)と滑ったこともある。

 8年9月には、旧民主党を結成して厚相を辞任するという菅氏に対し、エイズ薬害訴訟原告団の川田悦子さんが「新しい政党といっても理念もないし、応援できない」と迫った。菅氏はこう答えたという。

 「政党なんて、そんなもんですよ」

 そんな割り切りゆえか、無所属、社会市民連合、社民連と黙っていては埋没してしまう小政党を渡り歩いてきた経歴からか、菅氏はパフォーマンスを好む。

 鳥インフルエンザが発生すると鳥丼、BSE(牛海綿状脳症)が話題になると牛丼、病原性大腸菌「O157」との関連が疑われるとカイワレ大根3パック…。菅氏はカメラの前でひたすら食べてきた。

 民主党幹事長時代の14年1月には、報道陣を引き連れて公共職業安定所を視察し、パソコンによる求人検索を試みた。

 「55歳、月収50万円」…。菅氏の希望月収の高さに、かえって再就職の厳しさが分かっていないと批判が出る始末だった。

 ■不安な皇室・安保認識

 不安を覚えるのが、菅氏が外交・安全保障や歴史認識の問題についてどう対応するかだ。

 菅氏は代表時代の15年1月、那覇市での記者会見で「(米軍)海兵隊の基地と兵員は必ずしも沖縄にいなくても極東の安全は維持できる。国内からの移転を基本的な方向として考えている」と語り、政権を取った場合は海兵隊の撤退を求める持論を示している。

 菅氏は、現在は普天間の県内移設に関する日米合意を踏まえる姿勢を示しているが、持論との整合性をどうとっていくのか。

 拉致事件の拉致実行犯である北朝鮮工作員、辛光洙(シンガンス)元死刑囚らの助命釈放嘆願書に署名した問題もある。菅氏は自身のホームページで「私の不注意。おわびしたい」と謝罪しているが、安倍晋三元首相は4日付のメールマガジンで、「(辛元死刑囚は)総理就任をことほぎ、祝電を打ちたがったに違いありません」と皮肉った。

 皇室観も見えにくい。4日の首相指名にあたって、この日から静養に入るご予定だった天皇陛下の日程はなかなか確定できず、同日中の宮中での任命式も見送られた。

 17年5月には、終戦時に昭和天皇は退位すべきだったとの認識を表明した。

 昨年11月の政府主催の「天皇陛下ご在位20年記念式典」では、式典実行委員会副委員長を務めた。にもかかわらず、陛下ご臨席の場で「首を何度も何度もこっくりこっくりとし、居眠りをしていた」(自民党の木村太郎衆院議員の質問主意書)と指摘されている。

 菅氏には鳩山氏のどこか明るい無重力的な軽躁さとは別の、湿った感じの「軽さ」がうかがえる。それが吉と出るか凶と出るか、今は見守るしかない。

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2010年06月02日

ボンバル機が引き返し=自動操縦装置作動せず―大阪(時事通信)

posted by イシモト トシアキ at 00:16| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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